上川町民の健康を守っている上川医療センター。

ここで毎週火曜日の朝7:20から、他職種勉強会が開かれています。

私は平成25年に参加させていただいてから、6年が経ちました。

 

北海道家庭医療学センターの医師の皆さん、センター薬局上川店の薬剤師の皆さん、町内で歯科医院を開業している大ベテランの定岡先生の中に鍼灸師の私も混ぜていただき、毎週とてもためになる勉強をさせていただいております。

(写真の掲載は先生方に許可をいただいています。)

今週はタイトルになっている「西洋医学と伝統医療の統合」というテーマでした。

 

メディスンマンは心の拠り所

今日のお話はカナダの病院に救急搬送されたネイティブアメリカンの男性が、重傷にもかかわらず診療を拒み、自分が崇拝している「メディスンマン」の言うことだけを信じているという内容です。

メディスンマンとは、ネイティブアメリカンの文化として薬草の効能、知識の世界に深く熟知し心得ている呪医のことです。

(今世界中に広まっている「ハーブ」は、ネイティブアメリカンの悟りの儀式が発祥だそうです。)

搬送された男性はめまいと失神、脱力を訴えており、大腸の病変による貧血がありました。2型糖尿病とその合併症である神経障害・慢性腎不全・網膜症による視力障害・高血圧症も抱えており、大腸内視鏡と外科的手術が必要です。

ヘモグロビン値、カリウム値も高く、現代の医療でしっかり治療し生活習慣を改善する必要があります。しかしこの男性は西洋医学を信じることなく、自分が崇拝するメディスンマンに会うことだけを求めます。

 

日本でも同じようなことがありますよね。

「俺は病院が嫌いだ」

「鍼灸・整体・整骨院に行くからいい」

「このサプリメントを飲めば治るとネットに書いてあった」…など。

西洋医学以外のものを信じてしまう場合です。

 

家庭医が行なった方法

このテキストに出てきた家庭医の先生は、諦めることなく「メディスンマン」に連絡を取ります。

男性が信じるメディスンマンに説得してもらい、男性は手術に応じ回復していきました。

大抵の医師であれば「あなたがそちらを信じるのなら、どうぞご自由に」となってしまうのではないでしょうか。

来るものは拒まず、去る者は追わず、というのが普通だと思います。

しかし男性を救うため、親身になってメディスンマンと連携を取り、説得の後に腫瘍を完全切除。リンパ節転移もなく8日後に退院して、その後定期的に受診も続けているということでした。

 

今まで勉強会に参加して、家庭医療学センターの先生方はこの症例と同じような診療をされていると思います。

どんな方でもじっくり話を聞き、本人の最も望むことやキーパーソンを探し出して、最良の環境を作ることに努力されている。

生まれ故郷の上川町で最期を迎えることができる方が増えているのも、そのような努力があるからでしょう。

 

 

伝統医療側の努力が必要不可欠

今回の勉強会で強く感じたことは「伝統医療側の努力」が欠かせないこと。

この症例ではメディスンマンが正しい知識を持ち、病院の治療が必要である事を男性に伝えていました。

 

規制緩和された現代、巷には鍼灸や整体、整骨院、リラクゼーション、マッサージなどが溢れかえっています。

頼ってくれると期待に応えたくなるのは誰でも同じこと。

しかし経営的な面も含め、よく診断せずに長く通わせてしまうことはどこの治療院でも起こりうることです。

無知が原因で大きな病気を見落とし、手遅れになる可能性もあるのです。

東洋医学・伝統医学という仕事をしている側が必死に勉強しなければならないと痛感しました。

 

西洋医学と伝統医療の「真の」統合

数十年前の医師は「東洋医学なんて効かん!」と怒る先生がたくさんいました。

しかし今は少しずつ見直され、「この症状なら効くかもしれないよ」という姿勢の先生が全国に増えています。

 

そもそも東洋医学、伝統医学など「医学」を名乗ることが間違っていると私は思います。

医師は中学・高校の進学校でトップクラスの人が、大学最高峰の医学部に合格して6年間勉強しまくり、

最難関の医師国家試験に合格して、さらに2年間研修を重ね、正式に働き出してからも常に学び続けています。

「医学」を名乗るなら、私たちはもっと謙虚に、寝る間も惜しんで学び続けなければならないのではないでしょうか?

 

伝統医療側に歩み寄ってくれている先生方が増えている昨今、真の統合を目指すには鍼灸師や柔道整復師などが西洋医学をしっかり学ぶことが必要不可欠。

患者さん達が痛みや悩みを抱えて来院してくれている以上、

「私たちがしっかり学び直さなければならない」

「わからない時は抱え込まず、専門医に相談する」

と思わされた勉強会でした。